朝の久留米駅前は、まだ眠そうな空気が漂っています。商店街のシャッターは半分閉じたままで、角を曲がれば焼き鳥屋の焦げた匂いがほんのり残っています。そんな街並みを横目に、私は今日もホールへ向かいます。二十代前半、まだ学生でありながら、生活の大半をパチスロに委ねているのです。


専業といっても決して華やかなものではありません。朝は抽選に並び、番号が悪ければ一日中リセット狙いや宵越し狙いを繰り返します。強い日に設定を掴めることもありますが、読みが外れて軍資金を削られることも多いです。期待値を積んでいるはずなのに、収支がマイナスで終わる一日も少なくありません。久留米の街のネオンに照らされながら、「本当にこの選択で良いのだろうか」と自問自答する瞬間が必ず訪れます。


そんな生活の中で、私には付き合っている彼女がいます。彼女は同じ大学に通っていて、私の専業まがいの生活にも理解を示してくれています。しかし、心の底から安心しているわけではないはずです。「結婚できるのかな」と彼女に言われた夜がありました。私は笑って「大丈夫だよ」と答えましたが、内心は自信がありませんでした。久留米の夜空に流れる川の水音が、その不安をかき消すように響いていたのを覚えています。


ホールでの生活は孤独です。友人たちが就職活動で忙しくしている中、私はデータを集め、勝率を上げることばかりに心を砕いています。勝った日には「これが自分の道だ」と思えますが、負けが続けば「ただの逃避ではないか」と落ち込みます。久留米の街は変わらず流れていきます。西鉄久留米駅前の人混み、古びた居酒屋の赤提灯、そして夜になると浮かび上がる筑後川の灯り。その景色は、私の揺れる心を映し出しているように感じます。


専業パチプロとして生きていけるのか。それ以上に、彼女と未来を歩んでいけるのか。まだ学生である私には答えを出すことはできません。ただ一つ言えるのは、久留米の街の片隅で今日もリールを回しながら、自分なりの答えを探しているということです。