新潟の専業・兼業パチプロ

夜の新潟は、静かに酔ってるっけね。
信濃川のほとり、ネオンが滲んで、冬の風が頬にしみる。キャバクラ街の看板が、白い息の向こうでぼんやり光ってる。ドアの隙間から、笑い声とタバコの煙がふわっと流れてくる。そこに出入りするのは、スーツの男たち、そして「専業」や「兼業」の連中らだ。


あいつらはホールの中だけじゃなく、夜の店でも情報を回してるっけ。どの店が甘いか、どの演者が来るか、誰が設定掴んでるか――。紙ナプキンの裏に走り書きされた数字が、明日の飯のタネになるんだて。


「裏物はもうないっけさ」と笑う奴ほど、実は“裏”の匂いを嗅いでる。
都市伝説みたいに、いまも海沿いのどっかで「黒い台」が動いてるって噂が流れる。信じるかどうかは人それぞれだっけど、そういう話を肴に酒を飲む夜もまた、パチプロの日常なんだよね。


ハイエナたちは、夜のホールを徘徊してるっけ。
液晶の数字とリールの出目、そして人の動きを読む。目はまるで機械みたいだ。
スマホにはデータサイト、ホールのXアカ、独自のガジェットアプリ。
時代はもうノートじゃねぇ。打つ台を決めるのは、勘じゃなくデータと機械。


けど、結局は「人」なんだて。
釘を読む目、設定を読む勘、そして勝負を張る度胸。
新潟美人のホール店員がメダルを流すとき、その指先の冷たさにゾクッとする。
「これで今日も生き延びたなぁ」って心の中で呟きながら、缶コーヒーを開けるんだ。


パチスロで食ってくってのは、才能じゃねぇ。執念みたいなもんだっけさ。
勝った夜ほど虚しくて、負けた夜ほど熱くなる。
ホールの外でタバコをふかして、スマホに映る自分の顔を見て思う。


「俺、いったい何を追ってんだろうな…」


遠くでアイドル演者のイベント告知が流れてる。
派手な声、眩しいライト。けど、パチプロの夜は静かだっけね。
雪が降る新潟の町で、今日も誰かが回し、誰かが拾い、誰かが負けてる。
その全部が、この街の呼吸みたいに続いてくんだ。


新潟の専業パチプロ日記 その1

新潟の専業パチプロ日記 その2


新潟県の閉店したパチンコ店