夜のすすきのは、無数のネオンに彩られ、まるで眠らない街そのものです。氷点下の空気に白い息を吐きながら、私は今日もホールへ足を運びます。20代前半にして、専業として生きることを選んだ男の一日が始まります。


朝の抽選で番号を引き、設定を狙う。思うようにいかないことも多いですが、この街ではそれすらも日常の一部です。昼過ぎ、スロットのリールが思わぬ展開を見せてメダルが積み上がれば、「まだやれる」と心が熱くなる。しかし、閉店までにその山を崩してしまえば、すすきのの冷たい夜風が胸に突き刺さるように感じます。


ホールを出れば、キャバレーやクラブの看板が軒を連ねています。煌びやかな衣装の女たちが呼び込みに立ち、甘い香水の匂いが通りを漂います。彼女たちはプロフェッショナルです。自分の笑顔や言葉で客を引きつけ、夜を売り、明日へつなぐ。私の稼業とは違うようで、どこか同じだと感じる瞬間があります。どちらも生き残るために演じ、戦っているのです。


すすきのの街は、表と裏が紙一重です。観光客が撮影するイルミネーションもあれば、裏路地に入れば酒に沈む男たちがいます。勝った日には、その喧騒に混じってキャバレーで一杯飲み、女の子と笑い合う。負けた日には、コンビニの明かりに背を向けて一人立ち尽くす。街は変わらず輝いているのに、自分の内側は揺れ続けます。


20代前半という年齢で、この街に身を投じている自分が正しいのかどうかはわかりません。それでも、すすきののネオンが灯り続ける限り、私は今日もホールに立ち、リールを回し続けるのです。夜が明ける頃、氷点下の空気がまた肺を刺す。その痛みすら、専業としての生き方を確かめる証のように思えます。