ネオンと焼き鳥の街、博多区パチンコ巡礼

博多区を歩いていると、街そのものが巨大なパチンコホールのように見えてくる瞬間がある。ネオンが濡れたアスファルトに映り込み、そこに映し出されるのは希望の幻影か、それとも単なる電飾の残像か。南本町にある玉屋409雑餉隈 (ざっしょくのま) の角を曲がれば、駅前の焼き鳥屋から煙が立ちのぼり、つい一串だけで済ませようと思いながら、気づけば五本、六本と手を伸ばしている。博多の焼き鳥は、どこか都会の冷たい夜をやわらげる薬のように僕を癒してくれる。

空港の近く、玉屋空港店のネオンは飛行機の着陸灯と混じり合い、ここが都市の玄関口であることを思い出させる。旅人も軍団も、同じようにスロットの光に吸い寄せられるという話を聞いたことがある。祇園町のＧＩＯＮ1・1に立ち寄れば、太鼓の音が聞こえるような錯覚に囚われる。祭りの熱気とスロットの回転音は、実は同じリズムを刻んでいるのかもしれない。

博多駅周辺には、１２３博多店やメガフェイス880博多本店、そしてプラザ博多といった巨大な箱が並んでいる。駅の上を覆うガラスのドームと、それを背に光るホールの看板は、まるで未来都市のゲートだ。人は列をなし、抽選機の前に立ち、番号ひとつで今日の運命を占う。噂によれば、ここには影の軍団がいて、徹夜でデータを掘り返し、朝一の立ち回りを決めているらしい。勝者は勝者の酒を飲み、敗者は地下街の安いラーメンで涙を流す。

西月隈のプラザ本店やつかさ月隈店は、街の外れにあるにもかかわらず、専業たちがバイクで集まってくるスポットだ。工場の煙突からの蒸気とネオンが溶け合い、サイバーパンクな情景が広がる。まるでブレードランナーの一場面を切り取ったように。

吉塚のひばり吉塚店やＭＪ板付に行くと、地元の老人たちが「今日はジャグラーがいい」と囁き合っている。彼らの表情は、パチンコ玉より硬く、光よりも鋭い。生き抜いてきた時間の重みがそこにある。

そして最後に、千代のオーパ千鳥橋店。その店の前に立つと、川風が頬を撫で、古い博多の影が浮かび上がる。寺社の灯籠や博多座の光と、このホールのネオンが奇妙に調和している。僕はその景色の中でふと立ち止まり、焼き鳥の煙とネオンの輝きを吸い込んだ。

博多という街は、祭りと祈りとギャンブルが同じ血流を流している場所だ。そこに棲む軍団も、専業も、そして名もない僕のような流れ者も、同じネオンの光に導かれて歩いている。闇は深く、だが焼き鳥の塩気がその闇をほんの少しだけ甘くしてくれる。 

博多でおすすめの居酒屋とラーメン店

ラーメン店

博多一双 博多駅東本店
福岡県福岡市博多区東光2-7-27

ラーメン海鳴 中洲店
福岡県福岡市博多区中洲3-6-23 和田ビル1階

らーめん二男坊 博多本店
福岡県福岡市博多区博多駅前2-16-4 駅前中央ビル1F

居酒屋

焼き鳥とワイン 萬鳥 祇園店
福岡県福岡市博多区祇園町2-21 フェルト627-1F

にっこり屋 博多筑紫口店
福岡県福岡市博多区博多駅東2-1-24 ギャラリー博多ビル3F

魚喜 (ウキ)
福岡県福岡市博多区中洲1-3-16 プロスペリタ中洲1F