栃木市は「蔵の街」って呼ばれてる。巴波川（うずまがわ）沿いに白壁の蔵が並んでて、水面には瓦屋根が映ってる。ゆっくり流れる川の音を聞いてると時間が止まったような気がする。でもその少し外には、LEDの看板がピカピカ光るパチンコ店が並んでる。古い街並みとネオンの共存。これが今の栃木市の姿だと思う。

朝は「マルハン栃木」か「ダイナム栃木」に向かうことが多い。最近は「沖ドキ！GOLD」のリセット狩りがメイン。リセット後の32G以内、そこだけを狙ってる。それ以外だと「東京喰種」と「マイジャグラーV」が強い店も多いね。開店前の駐車場では、専業たちが無言で情報を探ってる。軍団はスマホ片手にデータ共有。店の雰囲気とか前日の履歴、LINE配信の言い回し。そういう細かいところを読んで、朝の立ち回りを決めるんだ。パチンコもスロットも、確率より“人間を読む”仕事だと思う。

夕方になると、仕事帰りの兼業組がホールに流れ込んでくる。スーツ姿で缶ビールを片手にジャグラーを打ってる人を見ると、なんだか羨ましくもある。ちゃんと仕事があって、帰る家がある。日常と非日常のバランスを取ってる感じだ。でも俺は完全な専業でもなく、たまにバイトをしながら生活してる。ホールにいる時間が長くなるほど、将来が見えなくなってくるんだよな。このまま日本は少子化で沈んでいくんじゃないか、なんてことを考えても、どこか現実味がない。ホールの光と音が、それを一瞬忘れさせてくれる。

でも夜になると、ふと思う。世界を裏で操ってる“闇の存在”って本当にいるのかな？ 宇宙人がこの街に紛れててもおかしくないよな、とか。巴波川の蔵の影、誰もいない路地。ふとした瞬間に感じる視線。ホールの監視カメラの赤いランプが、なんだか人間じゃない目に見えるときもある。

たまに気分転換で宇都宮まで行く。あの街は栃木よりずっと賑やかで、夜の熱気が違う。ネオンの街、酔っ払いの笑い声、そして夜の女の子たち。焼酎を飲みながら今日の収支を振り返る。勝っても負けても、酒が全部をぼかしてくれる。スナックのママが優しく話を聞いてくれる夜もある。あの笑顔に救われること、正直ある。熟女の優しさって、やっぱり落ち着くんだよな。

人生ってスロットみたいだと思う。設定は見えないし、天井までハマることもある。でも、突然フリーズが降ってくることもある。俺はまだ20代。学歴も地位もないけど、このリールの先に何かがあると信じたい。

明日もまた、蔵の街に朝が来る。沖ドキ！のランプが光る瞬間に、ちょっとだけ心も光る。世界がどう変わっても、この小さな街のホールで俺の物語は続く。酒とビールと焼酎、そしてパチンコの光。全部ひっくるめて、これが今の俺の現実なんだ。

蔵の街、光るリールと揺れる心

最近、ホールに行くとどうしても気になってしまうのが、あの店員の子だ。背が高くて、髪を後ろでまとめてる。笑うとえくぼができるタイプで、声をかけようか迷うけど、結局できない。台の清掃で近くを通るだけで心臓が変にドキドキする。こっちは一応専業みたいな顔して打ってるから、変に軽く見られたくない気持ちもある。でも、たぶん向こうは客なんて全部同じに見てるんだろうな。そう思うとちょっと切なくなる。

夜になると、今度は飲み屋の女の子が気になる。宇都宮の夜の街で出会ったスナックの子。年上で、よく笑う人だ。焼酎を注いでくれる手の動きが妙に優しくて、話してるうちにどうしても惹かれてしまう。パチンコの話なんかまったく通じないけど、「今日も勝てたの？」って笑顔で聞かれると、それだけで報われた気がする。ホールで何千枚出すより、その一言の方が嬉しい夜もある。

ただ、現実は現実だ。最近は「5のつく日」はジャグラー狙いが安定してる。でも同じ考えの奴らが多くて、朝から並びがえぐい。北斗のリセットも取りたいけど、軍団ががっちり抑えてて隙がない。結局、自分みたいな中途半端な専業は、立ち回りで差をつけるしかないんだよな。

それにしても、期待値表って何を信じればいいんだろう。ネットに出回ってる表は、どれも微妙に違う。試算条件も不明なまま転載されてるし、実戦値とズレることも多い。数字を信じすぎると負ける。かといって感覚で打っても勝てない。その中間で、どこまで“現実の期待値”を感じ取れるかが大事なんだと思う。

ホールの空気を読む。客層を読む。データの波を読む。結局、勝負の世界って人間観察の延長なんだよな。どんなにAIや統計が進んでも、台の前に座るのは人間だし、迷いも欲もある。

最近、そんなことばかり考えてる。パチンコ台の光の奥に、何かもっと大きな真実が隠れてるような気がする。リールが回る音、コインが落ちる音、その一瞬一瞬が、生きてる証みたいに感じる時がある。

明日もまた朝から並ぶ。狙い台は決めてない。でも、なんとなく行けば何か掴める気がする。そんな根拠のない自信だけで、今日も生きてる。

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