大学生の拓真は、夏休みに久しぶりに地元へ戻った。


夜の駅前を歩いていると、昔よく通っていたパチンコ店のネオンが見えた。

高校時代、入り浸った末に出禁になった店だ。


「まだやってたんだな」


懐かしくなり、中へ入る。


だが、店は妙に静かだった。


客はいる。

なのに誰も喋らない。

当たっても笑わず、ただ黙って台を回している。


店員たちも、拓真を見ると気まずそうに目を逸らした。


違和感を覚え、近くの常連らしい老人に話しかける。


「この店、なんか変ですね」


老人は不思議そうな顔をした。


「兄ちゃん、知らないのかい」


「え?」


「ここ、数年前にガス爆発で潰れた店だよ」


拓真が言葉を失っていると、奥から店長が歩いてきた。


昔、自分を出禁にした男だった。


店長は困ったように笑う。


「……ここに来ちゃダメだって、言ったのに」


拓真は後ずさる。


すると店長は静かに言った。


「君も、あの日ここにいたでしょう」