娯楽の場に「正義の監視」は必要なのか? ある店長の宣言に思うこと 最近、SNSであるパチンコ店の室長さんが発信した「決意表明」が話題になっています。

 

その内容は、いわゆる「軍団」と呼ばれる組織的なグループ打ちを徹底的に排除するというもの。専属スタッフを配置し、さらには一般のお客さんからもDMで「密告」を募るという、かなり踏み込んだ姿勢です。 「ルールを守る人を守りたい」という熱意は伝わってきますし、不快な思いをしてきたファンにとっては頼もしい言葉かもしれません。でも、この「正義」の裏側に潜む小さなしこりについて、一人の「常連のおばちゃん」の視点で少し考えてみたくなりました。

「遊び場」が「監視社会」に変わる瞬間

一番に思うのは、せっかくの娯楽の場が「監視し合う場所」になってしまわないか、ということです。

室長さんは「より良い環境のため」と言いますが、隣で打っている人を「あの人は軍団じゃないかしら?」と疑いながらハンドルを握る。これって、本当に楽しい時間でしょうか。 誰かが誰かを通報し、運営がそれを裁く。そんなピリピリした空気の中では、本来のリラックスできる「大衆娯楽」の良さが、どこかへ消えてしまうような気がしてなりません。


「普通の人」が怯える曖昧な境界線

次に気になるのは、「何をもって軍団とするか」という基準の曖昧さです。

仲の良い友達同士で楽しく並んで打っている。たまたま引きが強くて、周りより少し目立っている。そんな光景を見た他のお客さんが「あれは軍団だ」と通報してしまったら? もし自分たちがその対象になったらと思うと、怖くて気楽に友達も誘えません。「徹底排除」という強い言葉は、悪い人たちを追い出すだけでなく、普通に楽しみたい人たちの足まで遠ざけてしまう矛盾を抱えている気がします。


「プロの仕事」を客に委ねる違和感

そして何より、「専属スタッフを置くけれど、限界があるから情報をください」という呼びかけ。

お店を快適にするのは、本来お店側のプロとしての仕事のはずです。「自分たちの目が行き届かないから、お客様の力を貸して(密告して)」というのは、少し責任をこちら側に預けすぎではないでしょうか。 本当にプロのスタッフが揃っているのなら、お客さんにそんな重たい役目を負わせず、水面下でスマートに解決してほしい……。それが、お金を払って遊びに来ている側の、正直な気持ちだったりします。

本当の「大衆娯楽」とは

室長さんの「軍団は大嫌い」という言葉は、きっと純粋な正義感から出たものでしょう。でも、正義が強すぎると、遊び場は途端に窮屈な場所になってしまいます。

悪質な行為は正してほしい。けれど、それはあくまで「おもてなし」の延長であってほしいのです。 お店に入った瞬間、誰もが「今日は何が出るかな」とワクワクできる。そんな当たり前の日常を守るために必要なのは、厳しい監視の目ではなく、誰もが自然に笑い合える「心のゆとり」なのかもしれません。

新しいお店が、どうか「通報」で溢れる場所ではなく、たくさんの「笑顔」で溢れる場所になりますように。