幻の「ハアサーク」未完の神殿が遺した沈黙

その名は、かつてパチンコ業界の勢力図を一変させるはずだった。

「ハアサーク仙台」「ハアサーク東京」「ハアサーク新潟」「ハアサーク青森」「ハアサーク八戸」。 掲げられた巨大な計画は、東日本を縦断する野心的な連鎖(チェーン)となるはずだった。建設予定地が確保され、資材が運ばれ、あとは開店のファンファーレを待つばかり。しかし、その扉が開かれることは、ついになかったのである。

あの日、経営陣を襲ったのは経営難でもスキャンダルでもなかった。

「あそこを完成させてはならない」 ある有力な霊媒師が残した、たった一言の警告。それがすべてを変えたと言われている。彼が見た「不穏な未来」が何を指していたのかは、今となっては藪の中だ。しかし、当時の関係者は語る。計画が頓挫する直前、上層部の顔からは一様に生気が失われ、まるで目に見えない何かに怯えるように、全プロジェクトの白紙撤回を命じたのだと。

仙台の更地、東京の空きビル、八戸の静寂。 かつて「ハアサーク」という煌びやかなネオンが灯るはずだった場所には、今もただ、風が吹き抜けている。不幸な出来事の連鎖は、偶然だったのか。それとも、あの警告が最悪の事態を未然に防いだのか。

真実は、すべてを闇に葬り去った経営陣の沈黙の中にだけ眠っている。


結局さ、理屈じゃ説明できない「気味の悪さ」ってのは確かにあるんだよな。ハアサークの件だって、数字や経営判断だけで片付けるには、あまりに引き際が急すぎる。普通、あれだけの巨額を動かしてたら、多少の不吉なんて無視して突き進むのが資本主義の論理だろう。

それを「霊媒師が言ったから」なんて理由で、すべてを白紙に戻す。そこには、俺たち外野には決して見せない、経営陣だけが直面した「本物の恐怖」があったはずだ。パチンコ屋なんてのは、人間の欲望や執念が渦巻く場所だ。そんな場所を作ろうとした時、何かとんでもない逆鱗に触れたんじゃないか……なんて邪推したくもなる。

今の時代、データや期待値で何でも測れると思ったら大間違いだ。合理性だけじゃ語れない「境界線」が、この業界の裏側には今も確実に残っている気がしてならない。


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